ほどほどに!!

お酒を飲みすぎたある日、
小雨に打たれながら深夜25時に帰宅。
玄関前で鍵を取り出し、家の扉を開けて
中に入ろうとした。
鍵を扉の鍵穴に差し込み、いざ開けようとするが
なぜか開かない。
と言うか、鍵が回らない。
キーホルダーには、車の鍵、前の家の鍵、
今の家の鍵、倉庫の鍵、合計6つが付いている。
『あれ~。差し込む鍵を間違えたのかな~』と思い、
別の鍵を差し込み開けようとするが、鍵が回らない。
『あれ、あれ~。おかしいなぁ~』と1人呟き
また別の鍵を差し込んでみる。
やっぱり開かない。
全部の鍵をカギ穴に差し込んでみる。
車の鍵はカギ穴にすら入らない。
それ以外一通りの鍵を差し込んでみるが、
どれも開かない。
『あぁぁ~。今日は色々あり過ぎて酔っ払とるわぁ。
女の子にも振られるし、ほんま最悪な一日やわ・・・。』
とぼやく。
ひょっとして、鍵を反対に回してたんかなぁ~と思い、
頭をフラフラさせながら、もう一度鍵を差し込んでみた。
ガチャガチャ、ガチャガチャ、
ガチャガチャ、ガチャガチャ
うんともすんとも言わず、扉が開かない。
もう一度全ての鍵を試してみるが、結果は同じ。
やもえず諦めて、家の中から開けてもらうことに。
親に申し訳ないと思いながら、ドアフォンのボタンを押す。
『ピンポ~ン』
・・・・
暫く沈黙が続き、何の返答も帰ってこない。
当然と言えば当然。25時過ぎなので、熟睡しててもおかしくはない。
もう一度ボタンを押してみる。
『ピンポ~ン』
・・・
返事がない!
小雨が徐々にひどくなってくる。
『ピンポ~ン、ピンポ~ン、ピンポ~ン』
段々とイライラしだし、親には申し訳ないという感情は
いつの間にやら吹き飛んでいた。
知らず知らずのうちに、高橋指名人ばりにボタンを
16連打している自分がそこにいた。
やがて家の中から気だるそうに
『はぁ~い・・・』と言う声が。
『はぁ~い、ちゃうよ!! 玄関の扉が開かへんねん!!
どないなっとるんや!!』
となぜか逆切れ状態。
家の中からまた声が
『ぇぇぇ~、どなたですかぁ~』
どなたって!!自分の息子もわからんのかいな!!
と憤慨しつつも、聞いたことない声の主やなぁとふと感じた。
玄関を一歩下がり家の周りを見渡してみる。
えっ!?
おれん家ちゃう!! ここ隣ん家やん!!
カギ穴に差し込んでる鍵を慌てて引き抜き、
逃げるように自分家へ。
玄関扉は一発で開き、酔いも一気に冷めた。
ふとそんな苦い出来事を、思い出させてくれた映画です。
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